2017.05.18 第一生命HD 17年3月期決算、上場来最高の純利益計上

 第一生命HDは16日、2017年3月期の決算内容を発表した。それによると、連結純利益は6期連続の増益で2312億円となり、上場以来最高の実績となった。また、連結の経常収益は減収となったものの増配や自己株式の取得を実施し株主への還元を充実させた。18年3月期の業績は減収減益となる見通しも明らかにした。

 第一生命グループの17年3月期の連結経常収益は、6兆4567億円を計上、前期比17%減に終わったものの、連結純利益は、前期比30%増の2312億円となった。
 連結純利益が上場来最高を記録したのは、好調な海外生保事業のけん引など、事業分散効果に加えて、第一フロンティア生命の責任準備金戻し入れによる増益も反映している。
 連結経常収益は、低金利の環境下で円建て一時払い貯蓄性商品などの戦略的販売抑制を主な要因として減収となった。しかし、国内生保事業で商品構成を保障性商品にシフトさせることを進め、医療、介護など第三分野商品の販売が増加した結果、減収幅は期初に想定した範囲内に収まっている。
 株主配当は1株当たり従来予想40円から、前期比8円増配となる43円に予想を引き上げた。これと併せて230億円を上限とする自己株式取得(3年連続)を決定し、株主還元をさらに充実させるとしている。
 グループ業績では、新契約の年換算保険料合計は4407億円で、海外が688億円、国内が3719億円の内訳となった。合計の増加率は13.8%、そのうち海外は25.5%の減少、国内は26.2%の増加。海外では第一生命ベトナムが59.9%増、国内では第一生命の第三分野が17.6%増の高伸展を示した。
 保有契約年換算保険料の合計は3兆6334億円で、海外が7681億円、国内が2兆8653億円。合計の増加率は7.0%となり、海外では第一生命ベトナム、国内では第一フロンティア生命が大きく伸びている。
 基礎利益は前期比144億円増加して5584億円となった。前期2.41%の平均予定利率が2.34%に下落したが、基礎利回りの低下を2.76%から2.59%にとどめ、その差0.25ポイントの順ざやが維持された。 
 18年3月期の業績予想では、第一フロンティア生命、海外生命保険事業の反動減で、連結経常収益、連結経常利益、連結純利益ともにマイナスを予想し、純利益は1790億円で522億円減少するとの見通しだ。
 17年3月期で、単体としての第一生命の経常収益は3兆9467億円で前期比3190億円、純利益は1171億円で119億円の減少となった。資産運用状況では、資産構成のヘッジ外債が前期11.9%から16.6%にまで増加しているのが目立つ。新規分野に対する投資をインフラ、実物資産、その他―の分野で積極的に展開した。外貨建て債券は国債・地方債、社債が減少し、モーケージ等の占率が高まった。また信用度の高い高格付債券での運用に取り組んだ。通貨別では分散投資による収益向上策が取られ英ポンド、豪ドル、ユーロ、米ドル以外の「その他」通貨の比率が上昇した。
 解約失効高(個人保険・個人年金)は9.8%改善し、解約失効率は3.87%から3.66%に低下した。営業職員数は前期比2140人増加し4万4611人に達した。一人当たり新契約件数が27.6件から29.6件へアップし、それだけ生産性は向上した。健全性指標として含み益を見ると、6132億円減少して5兆6370億円となり、ソルベンシー・マージン比率は900.8%から850.5%に低下した。
 第一フロンティア生命単体の業績では、保険料等収入が8841億円の減少で9888億円になった。しかし、純利益は259億円増加し502億円を計上した。保有契約高は前期比6599億円増加し6兆8406億円となった。
 米プロテクティブ社はジェンワース社から定期保険ブロックを買収。利益貢献を開始し、運用収支の改善も図られ、当期利益は、2016年の予算3億800万米ドルを上回る3億9300万米ドルの実績となった。
 豪TAL社は、経常収益が3億4200万豪ドルの増加で35億7400万豪ドル、純利益も2800万豪ドル増加し1億4800万豪ドルを計上。保有契約年換算保険料は、前期とほぼ同じ水準の26億6800万豪ドルとなった。