2016.11.29 金融安定理事会がシステム上重要な保険会社を公表

 金融安定理事会(FSB)は11月21日、「グローバルなシステム上重要な保険会社の2016年リスト」を公表した。FSBは、保険監督者国際機構(IAIS)および各国当局と協議の上、年次のグローバルSIFIsの特定プロセスの一環として、15年にG―SIIsに選定された保険会社9社(エイゴン、アリアンツ、AIG、アビバ、アクサ、メットライフ、ピンアン・インシュアランス〈グループ〉・カンパニー・オブ・チャイナ、プルデンシャル・ファイナンシャル、プルーデンシャル、公表リスト順)をあらためて16年のG―SIIsに特定した。16年G―SIIsリストは、15年末時点データを用いたIAISの提案に基づいている。
 11年11月、FSBは、システム上重要な金融機関(SIFIs)に関するシステミックリスクおよびモラルハザードリスクに対処するための一連の政策措置を公表した。13年7月、FSBは、IAISおよび各国当局との協議の上、IAISによって開発された選定手法を用いて、グローバルなシステム上重要な保険会社(G―SIIs)9社の当初リストを特定した他、これら9社のG―SIIsに対して適用されるべき政策措置を特定した。同報告では、G―SIIsリストは、新しいデータに基づき、毎年更新され、毎年11月にFSBにより公表されることとしていた。
 G―SIIsは、以下の国際的に合意された基準の適用を受ける。
 ▽15年10月にIAISより最初の開発が公表された「上乗せ資本要件」(HLA)。HLAは、IAISによるG―SIIs選定手法に関するさらなる作業を反映して改訂され、17年11月に特定されるG―SIIsに対して19年1月から適用される予定である。
 ▽グループ監督者による持ち株会社への直接の監督権限およびシステミックリスク管理計画ならびに流動性管理計画の策定・実施の監視を含む、グループ全体の監督の強化。
 ▽グループ全体の再建・破綻処理計画および破綻処理可能性の定期的評価。各G―SIIの破綻処理可能性は、各社の危機管理グループ内の上級規制当局者によるハイレベルのFSB「破綻処理可能性評価プロセス」(RAP)により検証される。
 IAISは、G―SIIs選定手法に関する作業を継続しており、15年11月に開始した市中協議を経て、16年6月に「グローバルなシステム上重要な保険会社:改訂選定手法」を公表した。FSBは、17年第1四半期に、G―SIIs選定手法に関するさらなる作業についての作業計画および日程を受け取ることを予定しているという。
 また、IAISは、G―SIIのエンティティ・ベースの評価手法を補完し得るものとして、システミックリスクに対処するためのアクティビティ・ベースの手法について検討を進めており、FSBは、この作業に関するさらなる最新情報を受け取ることを期待するとしている。