2016.11.09 東京海上日動が成年後見賠償責任保険を開発、情報漏えい訴訟への備え

 成年後見人の権限等に関する民法の規定が10月に改正され、成年後見人の権限が拡大したことにより、一定の条件を満たせば、成年被後見人宛ての郵便物の受領や被後見人の死亡後の火葬や埋葬に関する契約を締結できるようになった。東京海上日動では、これに伴い増大するリスクに対応できる新たな賠償責任保険「成年後見賠償責任保険」を開発し、12月から発売する。同社では、成年後見人や被後見人に安心を提供し、後見人の登録数の増加や同制度の正しい普及に貢献したいとしている。
 同商品の特長としては、次のような点が挙げられる。
 成年後見人として行う行為を幅広く補償する。後見等事務の他、それを開始するための準備行為および終了後の管理計算、相続財産の保存、火葬・埋葬の契約締結も含まれる。
 成年後見人のうち、親族・専門職以外の一般市民が後見人となる市民後見人については、成年後見業務の遂行に伴い取得した個人情報の漏えいリスクを補償する。民法の規定に従い受領したマイナンバーが記載された郵便物を紛失したなど、取得した個人情報の漏えいまたはその恐れを補償する。
 オプションとして、被後見人などから預かり管理する現金、通帳など(預貯金証書、通帳、キャッシュディスペンサー用カード)の紛失、盗取または詐取に起因して通帳などの所有者に生じた再発行費用について、被保険者が負う法律上の賠償責任を補償する特約がある。
 同様に、初期対応費用・訴訟対応費用を補償する特約を付帯できる。同特約では、他人の身体の障害、財物の損壊などが発生した場合に事故対応のために必要となる「初期対応費用」や、被保険者に対する損害賠償請求訴訟が日本国内において提起された場合に応訴のために必要となる「訴訟対応費用」を補償する。
 最高裁の統計によると、成年後見制度の申請件数は年間3万5000件程度で推移している。そのうち市民後見人や法人後見人等、親族以外の者が後見・保佐・補助を行う「第三者後見人」は2010年の41.4%から15年には70.1%にまで占有率がアップしてきた。今後もこの傾向は続くとみられる。また、認知症高齢者は12年時点で約462万人、2025年には700万人を超えると推測されており、成年後見制度の需要は急増する見通しだ。成年後見人(特に市民後見人)の人材確保が急務とされ、ニーズが高まる中、同社では、同商品を通じて支援するとしている。