2016.10.07 SOMPOHDがエンデュランス社を買収、取得価額は6394億円

 SOMPOホールディングス(SOMPOHD)は100%子会社の損保ジャパン日本興亜を通じて、米国を中心に事業基盤を持つEndurance Specialty Holdings Ltd.(エンデュランス社、本社:バミューダ)を買収する手続きの開始について、10月5日に同社との間で合意した。株式の取得価額は約6394億円で、同社グループがこれまで実施した買収の中では最大規模。買収資金は同社グループ内の手元資金により充当する予定だという。エンデュランス社の持つ高いレベルの保険引き受けとリスク管理のノウハウをグループ内に展開し、顧客へのソリューション提供とERM体制の強化につなげることで、真にグローバルに統合された保険事業の構築を目指す。SOMPOHDは今回の買収について、「当社海外保険事業にとって大きな進展、かつ変革となるもの」としている。
 今回の買収は友好的なもので、エンデュランス社の取締役会は同買収について全会一致で賛同。チェアマン兼CEOのジョン・シャーマン氏を中心とする同社経営陣は、買収後も経営を継続する。
 エンデュランス社は2001年創業、米国を中心に英国・バミューダなどで元受け・再保険事業を展開するスペシャルティ保険グループ。米国第5位(15年度元受保険料ベース)のプレゼンスを持つ農業保険をはじめ、賠償責任保険や財物保険、スペシャルティ保険などの保険種目を幅広く取り扱い、元受けと再保険のバランスの取れた事業ポートフォリオとともに、高度なERM体制の確立により安定的で高収益な事業経営を実現している。また、規律あるアンダーライティングによる「収益性の向上」とM&Aなどによる「成長の追求」が図られており、15年には買収によりロイズに進出するなど、英国などでの保険事業にも領域を拡大している。
 低い経費率を維持することで15年までの10年間の平均コンバインド・レシオは90.2%と高い収益性を確保している他、同じ10年間のグロス保険料の年平均成長率は7.1%と高い成長性を実現している。良好な財務健全性を保持しており、民間の格付け会社からも高い保険財務力格付け(S&P:シングルA、ムーディーズ:A2)を取得している。
 SOMPOHDは今回の買収の戦略的意義について、エンデュランス社の優れた経営陣と優秀なアンダーライター、スペシャルティ保険・再保険分野でのグローバルな事業基盤を取り込むとともに、先進国マーケットでSOMPOHDグループの海外保険事業との統合を行うことで、グローバルな保険事業プラットホームが構築できるとした。また、世界最大の保険市場を持つ米国における強固な事業基盤を獲得することで、海外保険事業がさらに地域分散の効いたポートフォリオになるとともに、グループ全体に占める海外保険事業からの収益比率も12%から27%に拡大することで、同社事業全体のポートフォリオの分散を進め、経営基盤を強化できるとした。
 SOMPOHDは中期経営計画(16~20年度)で、20年度以降の目指す姿として「3000億円水準の修正連結利益」と「10%以上の修正連結ROE」を掲げている。この中で、海外保険事業については修正連結利益ベースで25%以上の貢献を目指しており、今回の買収はその達成に大きく貢献する。15年度実績の単純合算による試算では、修正連結利益は1643億円から1958億円(315億円増)に、修正連結ROEは6.9%から8.2%(1.3ポイント増)に上昇すると見込まれる。
 SOMPOHDグループは、同中期経営計画の中で「サービス産業への構造転換」とともに「グローバルプレイヤーに伍して戦えるポジションの確立」を目標に掲げ、これまで新興国では10年にトルコ、11年にマレーシア、13年にブラジルで買収や子会社化を実施するとともに、先進国では14年のロイズのキャノピアス買収などを通じて、海外保険事業への経営資源シフトを積極的に推進。さらなる成長と資本効率向上の観点から、グローバルで分散の効いた事業ポートフォリオの構築を念頭に、先進国・新興国の双方で元受け事業に強みを持つ保険会社の買収について検討を重ねていた。